プロレス小説「カミングアウト―東京デンジャラス・ボーイ3」感想 - その他
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プロレス小説「カミングアウト―東京デンジャラス・ボーイ3」感想

2010/02/28 編集
その他




最終巻、「カミングアウト―東京デンジャラス・ボーイ3」読了。

この本を読み終わり、改めて著者は「プロレスにはカミングアウトが必要」だという主張を前面に出したいんだなと思いました。その一貫した主張のもとに書かれている文章は、このシリーズの面白さを際立たせている要因だろうとも思います。

最終巻となる本作は犬神が常識人として描かれていますが、その犬神に「カミングアウトした方がいいんだ」と語らせてしまうあたりは、かなりの面で「あの人」に対する皮肉を含ませていると思います。犬神が引退試合で、あの有名な「詩」を読むくだりがありますが、「あの人がカミングアウトをしたらこうなるんだよ」
ということを伝えたかったんでしょうね。

著者のみならず、数々の暴露本で語られてきた「あの人」は、プロレスラーとしては一級ですが、人間としてみれば非常識人。現実の世界では、団体の社長が自らカミングアウトすることなど可能性はゼロに等しいですが、この本を読んでいると、いずれはカミングアウトが必要なのではと考えさせられました。ただ、あくまでも「考えさせられた」というだけです。

私もカミングアウトは若干賛成派ですが、現実に実行したらかなりの大問題に発展するでしょう。反動も怖いですし。しかし小説内では、マスコミを集めて記者会見を開き、堂々とカミングアウトします。果たしてカミングアウトをしたことに、ファンはどのような反応を示すのか!?この場面は非常に興味深かったですね。読んでいてドキドキしてしまいました。

「プロレス小説」としては一級品の作品ですし、これからのプロレス界を考えるうえで参考になる部分も多いと思いますので、ぜひともこの3部作をまとめて読んでみて下さい。

ラストは感動の涙とともに本を閉じることでしょう・・。

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