「魔法少女まどかマギカ」全話視聴完了!これは「哲学作品」だ! - いろいろ
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「魔法少女まどかマギカ」全話視聴完了!これは「哲学作品」だ!

2012/10/03 編集
いろいろ
アニメ 感想 魔法少女まどか☆マギカ




見る前の率直な感想
「魔法少女ぉ~?どうせ萌えアニメだろ?なんでこんなのが人気あるんだ?」

見終わった後の率直な感想
「うう・・まどかぁああ・・ほむらやべえ・・最高・・」




と、こんな気持ち悪い(笑)文章で始まったまどかマギカ全話視聴完了の感想。あれは萌えアニメじゃないですね。だって萌え要素ゼロなんだもん!

ニコニコアニメスペシャル「魔法少女まどか☆マギカ」一挙放送を視聴終わりました。感想ということで、ネタバレ全開します。ネタバレしてもOK、または「まどマギ」を今後見る予定のない人のみ見てください。

マジで感動・・というか不思議なアニメだったなあと思いました。



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■ 「魔法少女」という言語に巧妙に隠された伏線

この物語は、主人公のまどかが魔法少女になって敵と戦うんだなと思っていると痛い目を見ます。
なぜなら、主人公のまどかは「最終話まで変身しません」。そして本当の主人公は別にいます。

「え!?」

こう思った人が大半でしょう。でも実際にそうなんです。
まどかはキュゥべえ(以下QB)と呼ばれる、魔法少女モノにありがちな小動物に「僕と契約して魔法少女になってよ!」と、ことあるごとに言われます。

しかしこれこそがコイツの罠。

実はこのQBは「インキュベーター」と呼ばれる地球外生命体の端末であり、目的は「宇宙の寿命を延ばす」こと。そのために魔法少女たちが希望から絶望へ相転移して魔女となる際に発生する、熱力学第二法則に縛られない莫大な感情エネルギーを回収しているのです。

ここがスゴイところ。魔法少女モノでは欠かせなかったマスコットキャラが実は黒幕で、魔法少女にならせるための条件そのものが、マスコットの罠になっているところが意外性抜群です。


「まどかマギカ」最大の黒幕「QB」。その正体は地球外生命体「インキュベーター」。
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はっきり言ってQBは見ていて本気で腹が立ちます。コイツには「裏切り」「かわいそう」「悲しい」といった一切の感情がありません。いくら感情的に訴えかけても、「何それ」と言わんばかりにスルーするこの生き物。よくここまで邪悪な生物が描けるものだと感心しながら見てました。

またこのQB、ありとあらゆる話術を使って、まどかたちをなんとか魔法少女にしようと企みます。一級詐欺師の称号を与えよう!まさに詐欺!そう言っても全然さしつかえません。コイツ、ウソは言ってないのに本当のことも言わない、はぐらかし、顧客心理を巧みについた誘導など、詐欺のテクニック満載でまどかたちを誘惑します。


まどかたちがソウルジェムの持つ恐ろしさについて、QBを糾弾するシーンがあるんですが、QBは「聞かれなかったから答えなかった」と、邪悪さの欠片も見せません。この生物は、人間が持つ「感情」という概念を排除した生命体なので、あくまでも事務的にコトを進めます。そこに我々が持つような感情はありません。

QBの名セリフ「わけがわからないよ・・」という言葉もここから来ています。
「どうして人間はそんなに魂のありかにこだわるんだい?」という冷静な答えはゾクッときました。




■ 魔法少女が倒すべき「魔女」に隠された恐るべきメッセージ

通常、魔法少女たちは「ソウルジェム」と呼ばれる宝石で変身します。しかしそれは諸刃の剣。これこそがQBの最も最悪な部分。

「魔法少女の契約 = QBに魂を抜かれ、ソウルジェムが命代わりになること」


そしてソウルジェムが砕かれると、魔法少女は死にます。躊躇なく。ソウルジェムは戦うたびに濁っていき、魔女を倒すことで得られる「グリーフシード」と呼ばれる宝石を使ってジェムパワーを回復しないと、濁りが溜まっていき、濁りきると魔法少女は魔女になります。


変身に使う「ソウルジェム」。これが破壊されると魔法少女は死ぬ。
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そして敵として描かれるのが「魔女」という存在。この魔女、最初は魔法少女モノにありがちな、ただの敵として見えるんですが、その正体は「魔法少女」そのもの。過去、絶望によって魔女に変身してしまった魔法少女たちが敵なのです。つまりループ。

まどかたちの仲間であったさやかも絶望し、ソウルジェムが濁りきってしまい、魔女に変貌してしまいました。倒すべきボスが自分たちの同種というのも新鮮でした。これを魔法少女モノでやるかという・・。

実はこれすらもQBによって仕組まれたこと。QBが魔法少女を増やそうとする理由はただひとつ、「エネルギーの回収」しかありません。

そんなQBが語ったセリフで最も恐ろしかったのが、第8話のシーン。

「この国では、成長途中の女性のことを『少女』って呼ぶんだろう?
だったらやがて魔女になる君たちのことは、『魔法少女』と呼ぶべきだよね」


魔法少女が成長すると「魔女」になる。本編で初めて語られた伏線回収のシーンです。ここでゾクッと怖くならない視聴者はいないでしょう。




■ 真の主人公は暁美ほむら



「まどマギ」には複数の魔法少女が登場します。「もう何も怖くない」等の名言でおなじみ、たった3話目で殺された有名な「巴マミ」。親友でありながら絶望から魔女に変化してしまった「美樹さやか」などがいますが、最初に言った「別の主人公」と呼ばれる人物が「暁美ほむら」です。

最初はただの転校生、そして冷徹な女子という印象しかありません。おそらく途中までは、視聴者の大半が「なんだこの無愛想な女は」と嫌悪感を抱くかもしれません。しかし、その正体がわかったとき、視聴者は一気にほむらのストーリーに取り込まれていくでしょう。

彼女の魔法の能力は「時間操作」。最大最悪の魔女「ワルプルギスの夜」を倒すために何度も同じ世界を「ループ」していた存在でした。あれですよ、「ひぐらしのなく頃に」の梨花と同じ能力です。

ワルプルギスの夜を倒すにはまどかの力が必要なんですが、その膨大な力ゆえ、倒した直後にまどかは最悪の魔女へと変身してしまうことが決定づけられていました。なのでなんとかそれを防ぐためにほむらは何度も何度も同じ世界をくり返し、まどかを守ってきました。魔法少女としてQBと契約させないために。


何度もまどかを守る → 最後は契約してしまう → ワルプルギス倒す → まどか死ぬ(または魔女になる)


このループを断ち切り、まどかが契約しなくても、自分ひとりでワルプルギスを倒し、平和な世界を築こうと努力したのがほむらです。この愛情がわかった瞬間、涙涙です。

一番の親友であり、何度もまどかの死を見てきたほむらが選んだ行動は、感情を排除し、あえてきつくあたることで、まどかを一番側から見守るというとても辛い行動でした。あれはきつい・・特に10話からの「ほむら編」はヤバイ。見ているのが辛いです。彼女の抱えた悲しみと覚悟、それがどれだけのものなのか垣間見えるストーリーです。

ほむらが真の主人公と言われるゆえんです。まどかは最終的に宇宙の理すらも覆す存在になり、いわゆる「神」になって概念そのものが消えてしまいますが、まどかが守った世界を必死で守るほむらは、「まどマギ」の真の主人公」と呼ぶにふさわしいキャラクターです。


■ まとめ



全話見てみて、まどかマギカがここまで人気を博した理由がわかりました。

アニメ作品として比較する気はまったくありませんが、ヒット規模としては「ハルヒ」クラスではないかと。さすがにエヴァまではいかないけども、2006年ごろのハルヒレベルは間違いなくあるでしょう。ストーリーの重厚感はエヴァに匹敵するとは思っていますが。

この作品は従来の「魔法少女モノ」に「SF」を合わせた作品であり、いままでの「お約束」に理論付けをして「哲学」へ昇華させた作品であると思っています。

マスコット的存在のQBの位置は、本来ならば主人公のサポート役で終わるはずなのに、それが黒幕としてすべての原因であったこと、魔法少女はあくまでも「少女」。成長したら「魔女」になるという言語センスは誰もが思いつかなかった「盲点」でした。

さらに「変身アイテム」に意味を持たせ、変身するときに使う宝石が、実は敵へ変身してしまうツールであり、魔法を使えるようになる代わりに、肉体のダメージを極限まで減らし、砕かれない限りは死ぬことのない「ゾンビ」として生きながらえるしかない、しかも他人には気づいてもらえない孤独な戦いを強いられる。

それが「魔法少女」という存在なんだという、ある意味、魔法少女が持つ夢を根本からブチ壊し、「魔法少女」世界に存在するすべての事象に意味を持たせ、そこに新たな世界観を注入した稀作です。


子どものころ、みんなが見ていた「魔法少女」というジャンル。「まどマギ」はこのジャンルを「哲学」へと押し上げた、近年稀に見る作品であることは間違いないでしょう。同時に、このアニメは2000年代を象徴するアニメの集大成的作品であると言えるでしょう。

・宇宙の再構築やエネルギーといった広大な世界観
・専門用語の使用
・「世界」系のストーリー
・萌え系のデザインキャラに銃器・剣を持たせる描写
・既存の概念に新たな理論を付ける
・時間の「ループ」
・「百合」っぽい描写


といった、2000年代に入って見られてきたアニメの特徴をほぼ押さえているように見えてならないのです。作品は全然違いますが、エヴァやハルヒに似た感じを受けるのは、「まどマギ」がこういう概念を少なからず見ている側に連想させるような描写が多いことの証拠かなと思っています。

絵だけ見て敬遠している人、ぜひ見てみてください。この作品に「萌え」はありません。あるのは魔法少女に課せられた重圧とハードな世界があるのみです。夢も希望も、軽さもファンタジーも超越した世界がそこにあります。

この作品に出会えて、本当に良かったです。あっという間に全12話見られますよ。
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