業界人が語るTVアニメ自主規制問題 - いろいろ
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業界人が語るTVアニメ自主規制問題

2013/02/27 編集
いろいろ
アニメ コラム




深夜アニメ等で一時期は過激すぎる放送内容で社会問題化にもなった「TVアニメ自主規制問題」
とある業界人が語る内容には一理あるなあと思わせるものがたくさん。

「漫画や小説・ラノベなどは"自分で選んで買わないと作品内容に接触できない"メディアです。これに対し、TVアニメは"たまたまチャンネルをつけていたら観てしまった"ということが起こりうるメディアです。ここが両者の決定的な違いです」

原作改変、残虐描写カット…業界人が語るTVアニメ"自主規制"事情(1/4ページ) | ニコニコニュース


あの有名アニメ『ひぐらしのなく頃に』の残虐シーンがすごすぎるとして
自主規制が入ったのも記憶に新しいんですが、あれがもう6~7年前ということが一番戦慄しています。
小学校入学時の子どもが卒業している年数ですから。・・それはさておき。

能動的に見る作品と受動的に見る作品の違いが決定的な違いというのは、
あまりに近すぎて忘れていたような感覚ではないでしょうか。

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私などは

「深夜なんか子どもは見ないからもっと過激にしてもいいんじゃないか」


とさえ思っていましたが、いまでは録画もあるし、
地デジ化で過激なシーンを高画質で見ることができます。

ある程度の規制は必要なのかなあ。


ひぐらしのなく頃に問題


2007年の『解』放映時に数局が放送を打ち切る事態が発生。
打ち切り理由はおそらく同年に発生した事件が原因ではないかとする説が有力。
京都で16歳の少女が父親を殺害したさいの犯行状況が、
ひぐらしを想起させるようなものがあったためではないかという。
第12話以降、OP血塗られたナタが映るシーンが差し替えられたり、回想シーンが変更されたりした。




こうした規制は「想起させるものがあるからダメ」ということのようですが、
規制したからといって、それが本当に「害だからダメ」なのか、物語を読み進めていけば
決してそのような内容だけではないにもかかわらず、一点の過激描写で規制するというのは
どうなのかなあと思うわけで。

たとえば、上記の「ひぐらし規制」問題では、12話・第13話の「皆殺し編」は、
虐待から友人を救うために行政に掛け合うが、いまひとつ動いてくれない。
だから自分たちで動かなくてはならないんだという現代的な問題を扱っていて、
事件を起こさせるような話ではありません。

衝動的にそれがスイッチとなったとするならば、そういう人間は、もはや規制しようがしまいが
そういったことをいつかしていたはずで、受動的に流れるものについて刺激的な内容を
規制しなくてはならないというのは、昨今、ちょっと行き過ぎている感もあります。


現在大人気の『ジョジョの奇妙な冒険』でシュトロハイムの発言で
「ナチス」が「ドイツ」に変わっていたのはまあわかるんですが、
ちょっとしたロ描写も規制するのは、作品の楽しみを奪ってしまっていることにならないでしょうか。


ドラゴンボール改で見られた規制シーン


たとえば、過激シーンがあることで成り立っているシーン。
ドラゴンボール改でちょっとだけ話題になりましたが、
ピッコロの魔貫光殺砲でラディッツと悟空が貫かれるシーン。
あそこが改では黒く塗られているだけでした。『Z』放送時にはもうちょっとグロかったんですよ。

その後は自主規制もゆるくなったのか、ネイルの腕が千切れるシーンや
クリリンが爆発するシーンなども修正なしで放送されました。
作品全体を見ずに、一点の過激描写を見て「規制」というのはあまりにも馬鹿馬鹿しいと思います。


ただ、上記の業界人の方が仰っているように、「自分で選んで買う」のは
ジャンプでありマンガだったわけで、それならその中に過激な描写があっても
規制は少なくて良いという意見になり、「受動的」に見せられるアニメは
過激描写を控えるというのは正しいのかなあ。


自主規制している内容とまとめ


上記の記事でも書かれていますが、制作側が自主規制しているのは
おもに次のような内容。

・放送問題用語(差別や人権に関わる言葉など)
・映像演出(ポケモンショックの影響)
・飲酒・喫煙の描写
・性的・暴力描写
・放送自粛・中止(アニメの内容と類似したような事件が起きた時)


そしてまとめ。

・自主規制の大前提は"視聴者の保護"
・そこにスポンサーの事情など複数の要素が絡む
・性描写と残虐描写への配慮が比較的多い
・明文化したルールはなく、作品ごとに個別で判断しているのが実情


燃えるような意見も見られました。記事の最後には業界人が

「アニメスタッフは"制約が多いほど燃える人種"ですから」

これはありがたいメッセージでした。現場は死んでなどいない、ますます燃えていく!
ということを言ってくれた気がしました。

そうか、制限のある中でやるからこそ、熱いモノが出てくるのか。
なんでもアリになったら逆に作品としての質は落ちる・・?

だったらいままで通り、自主規制を一定ラインで保って制限をつけて
アニメを制作してくれたほうが我々にとっては良いですね。

でも、昔の作品をリメイクするときが今後来たら、そのときはできるだけ規制を緩くして
当時のまま放送してほしいものです。
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