【PSP】『探偵 神宮寺三郎 灰とダイヤモンド』レビュー
![]() | 探偵 神宮寺三郎 灰とダイヤモンド (2009/09/17) Sony PSP 商品詳細を見る |
とある遺産相続の依頼を受ける神宮寺三郎。
そこから始まる幾重にも連なる人々の“想い”をつなげるため、
神宮寺は奔走する・・・。
PSPの神宮寺、『灰とダイヤモンド』クリアしましたのでレビューです。
ちょっと辛口になってしまいますがご容赦ください。
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感想
まず、PSPという舞台で初の神宮寺シリーズが出たことはとても喜ばしいことで、
ずっと以前からプレイしたいと思っていました。
ストーリーはメインのものに複数の事件が関わってくるというもので、マルチシナリオになっています。
しかしマルチシナリオとはいえ、ほとんどがバッドエンドで、回避もしやすいため、
街などのザッピング中心のゲームと比べると、食い足りない感はあります。
心温まる話が中心なため、緊迫感やハプニング感は薄いです。
メイン+サブシナリオのマルチシナリオとなる。

ライバルの存在意義がちょっと物足りないかという感じがしました。
壮大な計画はあるのですが、それを実行する前に消えてしまったり、
続編を見据えてのことなのでしょうが、ライバルパートナーが喋らないまま終わったり、
かなり中途半端な状態で終わります(メインストーリーは完結しますが)。
この物語のほぼ中心にいるホステスが消息不明のまま終わるなど、
きっちりと対決で締めないところはやきもきさせられました。
ライバルキャラとなる「与那国 丈」。横のパートナーキャラは謎が多い。

『時の過ぎゆくままに』や『夢の終わりに』の記憶が残るデータイーストプレイヤーは
ワークジャムになってからのストーリー展開に不満を漏らす人もいると聞きます。
それはこういったところが原因なのではないかなと思います。
賛否はあれど、今回の神宮寺は殺人事件もなければ血なまぐさい出来事も起こりません。
『街の探偵』で終わります。元々は探偵ゲームですからそれで良いのですが、
ちょっと私には物足りなかったですね。
このゲームのストーリーはサブも含めて「人々の気持ち」に重点が置かれています。
猫探しから始まる女性の想いや、かすみの高校時代の同級生の女性にまつわる事件。
サブストーリーとしては秀逸なお話にはなっています。
メインストーリーはあれよあれよという間に終わってしまい、ほぼ一本道。
前はバーかすみに好きなだけ寄れたんですが、今作は寄ることを忘れてしまいます。
事務所に戻ってきてそのままストーリー進行が進むことも多かったですから。
あと、声が全然駄目ですね。話は良いのに声が棒読みなので感情移入がなかなかできません。
これなら無理にボイスを入れなくても良かったのではないかと思いました。
トークプロファイルなどの聞き込みはなかなかやりごたえがあったのですが、
それも刺身のツマ程度で、たとえば壮大な殺人事件を追うために
最終的には海外にまで飛ぶというようなストーリーを期待していたため、
メインストーリーの尻すぼみ感は否めませんでした。
トーク・プロファイル・システムで気になる人に聞き込みだ。

ただ、ストーリーだけをじっくり追いたい、血なまぐさい事件はいらないとお考えの方には
最適なゲームだと思います。どちらかというと、イージーモードの神宮寺入門編ソフトなので
昔の神宮寺テイストを求めていると、ちょっと肩透かしを食うかもしれません。
煙草は健在。詰まったときに吸おう。

総評
このソフトは「神宮寺三郎入門編」のソフトという位置付けだと私は受け取りました。
むしろ、探偵パートでじっくりと捜査をしていくよりは、人々の想いをつなげるために
神宮寺がそっと手助けする。街の探偵としてはこれぐらいの位置でもいいのかなとは思いました。
ただ、公式サイトにあるキャッチコピー「神宮寺史上最大の事件」ではないと思います。
あくまでこれまでの事件と同じレベルで考えて良いです。
そういう意味では、全体的なストーリーやレベルではDS版のほうに軍配が上がるかなと。
なんせ、淀橋署では熊さんの出番もあんまりなくて、小林さんがチョイと出るくらい。
鑑識の三好や豪造親分は出ません。
あの面々が出てくるのを待っている間にゲームが終わってしまったので残念でした。
マップ移動の際に二度手間になるのもいただけませんでしたね。
まずマップが出てきて、アナログスティックで行く地域を選択肢、そこからさらに行く場所を選択。
ちょっと面倒に感じました。
メインストーリーがほぼ全て遺産相続の依頼から始まり、最後はきちんとまとめるのは
さすがですね。言っておきますが、メインストーリーが破綻しているとか、そういうんじゃないんです。
いままでの神宮寺をずっとやってきた人ほど、物足りなく感じると思います。
手堅く攻めたので、物語に意外性はなく、驚くほどハプニングがない。
そしてきっちりまとめてはいるが、いままでの神宮寺ファンを唸らせるほどの
作品になったかどうかは微妙です。
話自体はとても良くできていますので、プレイして損はありません。
ゲーム情報
対応機種:PSP
開発元 :ワークジャム
発売元:アークシステムワークス
発売日:2009年9月17日
価格:5,040円(税込)
対象年齢:CERO B(12歳以上対象)
関連リンク
探偵 神宮寺三郎 灰とダイヤモンド 公式サイト
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