【PSP】『428 ~封鎖された渋谷で~』レビュー
![]() | Spike The Best 428 ~封鎖された渋谷で~ (2010/12/02) Sony PSP 商品詳細を見る |
2008年にWii発売され、実写版サウンドノベルの金字塔とうたわれた『街~運命の交差点~』のテイストを受けつぐサウンドノベル、『428~封鎖された渋谷で~』のダウンロード版をPSPで購入したので、レビューします。
ファミ通クロスレビューで満点を叩きだした理由がわかります。
7/9 クリアしました!最後のほうにクリア総評載せてます!
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注意すること
まず、この作品は『街』の続編ではないということです。
渋谷が舞台とはいえ、「街」の10年後を舞台としてストーリーが展開されており、前作とは何のつながりもありません。
続編という位置付けではなく、完全な新作で登場人物も全員新しくなっています。
文章部分で「街」を彷彿とさせるような人物及び設定は出てきます。
メインストーリーは渋谷で発生した誘拐事件です。
そこに絡んでくる様々な人々の運命を辿って読み解いていくのが『428』の物語なのです。
個性豊かな主人公たちが『428』の舞台を彩る

主要人物(428の主人公たち)
『428』は個性豊かな5人の登場人物の物語です。
クリアすることでボーナスストーリーも登場するのですが、それはプレイで確かめてください。
主要人物や物語の雰囲気を見ていると、『街』っぽいストーリー展開があったりしました。
個人的には「タマ」ストーリーが美子っぽいというか、あんな感じがしました。まあ女の子が主人公なのでそう思っただけなんですが。
登場人物のひとり、加納が刑事だと聞いた瞬間「お、桂馬ポジションか?」と思いました。
渋谷の刑事っていえば、『街』では桂馬でしたもんね。桂馬は少年課でしたが、加納は本職の刑事です。
■加納慎也(かのう しんや)
演 - 天野浩成
渋谷中央署の新米刑事。一年前、渋谷署刑事課強行犯係に配属されたばかり。正義感は強いものの、どこか頼りなさがある。感情的になったり、他人のペースに流されたりと精神的な未熟さも目立つ。
高校時代のラグビーで鍛えた身体と俊足が売りでタックルが得意。先輩刑事の建野京三に憧れており、彼がの言葉を“デカの心得”として大事にしている。恋人とは結婚も考えているが、恋人の父が中々会ってくれず、難儀している。
■遠藤亜智(えんどう あち)
演 - 中村悠斗
渋谷の若者を統率しているグループ「KOK」の初代ヘッド。
現在は離脱し、渋谷のゴミ拾いに精を出す毎日。
一見強面だが環境問題のことをしっかりと考え、正義感も強い好青年。
渋谷ではちょっとした有名人。ケンカの腕はかなりのもので、売られたケンカは買っていたという。しかし頭を使うのが苦手で、小難しい話が苦手だったり、ことわざをよく間違えたりする。考えるよりも直感で行動するタイプで、困っている人を見ると放っておけない。
■大沢賢治(おおさわ けんじ)
演 - 小山卓治
大手製薬会社「大越製薬」の研究所長で、ウイルス研究の第一人者。非常に寡黙な人物で、人と人の関わりについては何の興味も持たない、いわゆる仕事人間。
自分の研究にしか意欲を見せず、淡々と日常を過ごしていた。
美術的なことにも全く興味のなかったが、あることがきっかけで上木彩矢のファンになる。
娘の誘拐事件をきっかけに、今まで避けてきたものと向かい合うこととなる。
この人は『街』の「市川」ポジションですね。日常とはちょっと違う異質な空間。
ウイルス研究という奥深いテーマが主題なので、重厚な物語が味わえます。
■御法川実(みのりかわ みのる)
演 - 北上史欧
元新聞記者で、現在はフリーライター。自分の書いた記事に絶対の自信を持っており、取材対象への態度もやたらと大きい。
しかし、困っている周囲の人間を見捨てない義理堅さを持ち、
インチキやイカサマを許さない正義感は強い。何かにつけ、人や物を指差す癖がある。
『3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!』からのスピンオフキャラクター。
また、本作からのスピンオフとしてスパイク発売のPSP用ゲームソフト『ガチトラ! 〜暴れん坊教師 in High School〜』に御法川実の妹である御法川ミドリが登場している。
■タマ
演 - 不明
ネコの着ぐるみを着た人物。雑貨屋で見つけたペンダントを買うためにアルバイトをしている。本人曰く、「か弱い乙女」であるらしい。
ファスナーが壊れて着ぐるみが脱げなくなってしまい、しばらく着ぐるみのままで仕事をすることになる。
他人への気遣いはあるものの、どこかおっちょこちょい。
アルバイト代のためにあらゆることを頑張っているため、努力家な一面もある。
モデルとして雇われたのに、着ぐるみのせいでその自慢のプロポーションを披露できない。
男性諸君にとっては「なんでだ!」と憤りたくなるのですが、過去場面でちょっとだけ出てくるタマちゃんの姿は確かに可愛いです。
『街』の美子っぽいポジション・・ですが、彼女にはひとつの謎があります。
感想
素晴らしいです。『街』をプレイしたことのある人ならば、その進化っぷりに驚くことでしょう。
まず、実写風景やムービーをふんだんに使ったオープニングやゲーム中の画面は映画を見ているような感じです。
また、背景は全部実写ですが、静止画だけではなく、ときには静止画が右から左に動いて文章だけが進んだりしますので、動きのあるサウンドノベルを楽しむことができます。
基本は選択肢を選ぶだけ。あとは物語を読み進めていく。

TIPSの進化に注目
TIPSも健在。豆知識をこれでもかと読めます。
さらに今回はTIPSに画像や動画が入っている場合があります。
渋谷ハチ公などの名所情報が画像つきで説明されており、一目瞭然となりました。
薬品の効果説明などが動画再生で説明されたりするので、知的好奇心を刺激します。
操作方法はとても簡単。チュートリアルもあるのでサウンドノベル初心者でも安心。
ザッピングシステムももちろん健在。
各登場人物の行動を選択することで、別の主人公の運命が変わります。
ジャンプ画面。青い文章はTIPS。赤い文章は他の主人公の同時間軸にジャンプできる。

スタートボタンでオート読み進めができ、オート中でもTIPSが出てきたら□ボタンで読むことができるので親切設計です。
オートスピードも3段階に変更できるので、自分の目のスピードに合わせた速さでページを読み進めることができます。
バッドエンドになってしまっても、慌てることはありません。
きちんとヒントが表示できるようになっているからです。これは『街』と同じですね。
ヒントを利用してザッピングをし、主人公たちを操って事件の謎を解いて行きましょう。
ザッピングは今回も健在。別の主人公に切り替えることで運命を変えていく。

そして、1時間ごとにアイキャッチムービーが入り、次の1時間の予告が流れます。
チャプタームービーを見ることで、まるでドラマの次回予告を見ているような気分です。
ちょうど良いタイミングで一息つくことができます。
『街』から続く、個性豊かな主人公たちの物語を体感しましょう。
2013/7/9 追記
「428」をクリアしました!
いやー、泣けました泣けました。最後の方は怒涛のラッシュを叩きこまれているかのような感覚。
文章を読んでいるだけなのに、まるで映画の中に入り込んで自分が演じているような錯覚。
途中でムービーも入ったりしますので、本当に『街』以上に楽しませてもらいました!
総評
物語の主人公たちをザッピングしながら、運命の糸を導いていく。
それが『街』であり、『428』の物語でした。
『428』は『街』よりもザッピング回数が多かったように思いますね。
最初に書いたように、最後のほうはもう本当に怒涛のラッシュ地獄といっても良いぐらいでした。
次々と現れる選択肢に、地獄へ突き落とさんばかりのBAD。
でも、それを回避しながら少しずつ真相へ迫っていく間、私は間違いなく、登場人物たちと同じ心境になっていました。
いったい、1日に何時間プレイしたかわかりません。おそらく7~8時間はプレイしたでしょうか。
それぐらい「先を読みたい」ゲームだったんです。
『街』との一番大きな違いは、『街』はそれぞれ独立した物語になっていて、最後は花火が共通点というだけでした。『428』は全員がひとつのメインストーリーに向かって集約していきます。それが一番の違いでしたね。
『街』の登場人物のネタがちょっと出てくるのも嬉しかったです。
あれから10年後ということなので人物は出てきませんが、名残を見ることはできます。
TIPSで“ある人物”の名残が出ていたのは嬉しかったですね。
登場人物全員が、メインに向かって向かっていき、協力し、物語を終える。それがたった1日の間に起こるんです。
『街』が複数日にまたがった物語なら、『428』はわずか1日の物語。それでも濃度は『街』と同じか、それ以上のものがありました。
刑事としての使命を全うしようとした加納。
大切な人を守るために動く亜智。
不思議な秘密を持つネコ、タマ。
ウイルスに取り憑かれながらも後悔の念に苛まれる研究者、大沢。
情熱のフリーライター、御法川。
全てが魅力的であり、全員が同じ目的のために動こうとする。
それがいつの間にかクロスオーバーし、渋谷を舞台に大激動の渦を起こす。
本当に、読み進めているうちに・・なんですよ。
読んでいるうちにいつの間にかグイグイ引きこまれていくので、何度止め時を見失ったか。
それでも、彼らの物語を全部見終わって、心地良い疲労感と達成感に包まれています。
これ以上ないぐらい、ゲーマーとしてのパワーを久々にフル活用してクリアしたせいか、驚くほど短期間でクリアしてしまいました(約3~4日)。あっという間だった気もしますし、もうちょっと長く楽しむべきだったかなと後悔もしています(笑)。
『街』から約10年。
あの系譜を受け継ぐ作品としては、100点満点のものが出来上がったのではないでしょうか。
前評判どおり、やっぱりすごく面白かったです。
これ以上の作品が出るのはあと何年後かなあ・・また10年ぐらい待たなきゃいけないかな。
ゲーム情報
対応機種:Wii、PS3、PSP、iOS
開発元:チュンソフト
発売元:[Wii]:セガ、[PS3][PSP]:スパイク、[iOS]:チュンソフト
プロデューサー:中村光一
人数:1人
メディア:[Wii]:Wii用光ディスク、[PS3]:BD-ROM、[PSP]:UMD
発売日:[Wii]:2008年12月4日
[PS3]:2009年9月3日
[PSP]:2009年9月17日
[iOS]:2011年11月2日
価格:[Wii][PS3]:7,140円(税込)
[PSP]:5,040円(税込)
[iOS]:1,800円(税込)
対象年齢:CERO:C(15才以上対象)
売上本数:7.5万本(Wii)、3.4万本(PS3)、3.2万本(PSP)
関連リンク
428 ~封鎖された渋谷で~ 公式サイト
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