今回は、歴代のラスボスの能力を解説していきます。第1部と第2部は、まだスタンドが登場していませんが、3部以降はスタンド名とスタンド能力という形でご紹介していきます。
これまでのボス能力
- 第1部:ディオ・ブランドー
【能力】:気化冷凍法、空裂眼刺驚(スペースリパー・スティンギーアイズ)、肉の芽、対象のゾンビ化

石仮面で吸血鬼となったディオ・ブランドー。彼の能力は、呼吸で相手を凍らせる「気化冷凍法」や、相手を噛むことで吸血鬼化させる能力であった。最後、客船にてジョナサンがディオに対峙したとき、目から圧縮した体液を放つ空裂眼刺驚(スペースリパー・スティンギーアイズ)を使って喉を潰し、波紋呼吸を不可能にさせた。
スタンド能力がなかったとはいえ、元は人間なのにここまでの能力を持ったのは、貧民街出身の反骨精神に加え、ディオ自身の「悪」が大きく作用しているからだろう。
ディオ・ブランドーはそれから100年の眠りを経て「DIO」となり、新たな能力「スタンド」を身につけて再登場することになる…。
- 第2部:カーズ
【能力】:輝彩滑刀、波紋、吸血

約12,000年前の「柱の男」のリーダー。究極生命体となることを目的としており、実際、エイジャの赤石の力を使って究極生命体となった。
それ以前に使用していた技として代表的なものが「輝彩滑刀」である。腕の表面に刃を生み出せる能力を使い、リサリサを傷つけたり、ジョジョを苦戦させた。究極生命体となった後はそれまで弱点であった波紋呼吸まで行い、まさに無敵状態となったが、火山弾に体を押し上げられ、最終的には地球追放となった。
今でもカーズは宇宙空間をさまよっているはずである。
- 第3部:DIO
【スタンド名】「ザ・ワールド」
【能力】:時間停止

100年間の眠りから覚めたDIOが「弓と矢」によって身につけたスタンド能力。スタンド自体は第3部から登場したが、その中でもDIOの能力は「時間停止」という、最悪の能力だった。この能力を使って花京院のハイエロファントグリーンの結界を一瞬で破壊し、ジョセフも一撃で瀕死の状態に。
スタンド能力が登場してからのジョジョのボスは「時間」や「空間」に関係する能力を持つこととなった。これ以降のボス能力はその都度ご紹介するが、DIOの能力はまぎれもなく、それまでの「ボス」と呼ばれる者たちの中で最強の能力を持っていたことだけは間違いないだろう。
後述するが、ゲームの「アイズ・オブ・ヘブン」では、「天国へ行く方法」をプッチ神父ではなくDIOが実践し、もしも天国へ到達したら…という設定の「ザ・ワールド・オーバーヘブン」というスタンドが登場する。
- 第4部:吉良吉影
【スタンド名】「キラークイーン」
【能力】:触れたものを爆弾に変える、シアーハートアタック(追跡爆弾)、バイツァ・ダスト
4部のボス、吉良吉影が身につけたスタンド能力は本人の邪悪さも相まって、とんでもない爆弾スタンドとして覚醒した。第一の爆弾は「触れたものを爆弾に変える」能力。100円玉だろうとドアノブだろうと、何でも爆弾に変えられる。
第二の爆弾はキラークイーンの左腕に搭載されている「シアーハートアタック」。これは「熱」に反応して追跡してくる自動追尾爆弾であり、吉良の意志とは無関係に動く。
最も恐ろしかったのが「第三の爆弾」である「バイツァ・ダスト」。吉良がとことん追い詰められたとき、偶然的に発動できる能力で、狙っては出せない。
スタンド能力を持たない無害な人間のみに設置可能な爆弾であり、設置者に対し、吉良のことを質問(筆談でもNG)しただけで質問者は全員爆破される。
そして、設置者はその者たちと出会う直前の時間まで戻る。このとき、吉良自身は設置者が誰と会ったか、何を質問されたのかはわからない。
だが、「対象者に爆弾を仕掛けておけば、知らず知らずのうちに自動で追手を消してくれる能力」は最強クラスである。ただし、吉良が自分から正体を喋った場合は別。
爆破した人物は指定の時間が来ると何もしなくても爆発する。死んだ時点でバイツァ・ダストを解除すると、その時点から新たな未来が始まる。吉良の正体を探ろうとする者はいなくなるという計算だったが…?
もちろん弱点もあり、バイツァ・ダスト発動中は対象者にキラークイーンを「憑依」させているため、解除して戻さないかぎり、吉良はキラークイーンを出せない。
この能力、吉良が「自分の正体を探ってくる人間とは絶対に会いたくない」という一心で発言した能力であり、植物のように平穏に暮らしたいと考える吉良の人生観を表している能力であるといえよう。
- 第5部:ディアボロ
【スタンド名】「キング・クリムゾン」
【能力】:時間を消し飛ばす、エピタフ(未来予知)
ギャング組織「パッショーネ」のボス、ディアボロのスタンド。この世のすべての時間を消し飛ばし、物事の過程を飛ばして結果だけを残す。
具体的には、相手から攻撃されたときに、パンチが当たる瞬間の時間を消し飛ばせば、「パンチが当たる」という過程だけが飛ぶため、攻撃は当たらない。
もう一つの例として、「チョコを食べようとしたらいつの間にか口の中に含んでいた」ということもある。「チョコをつまんで口元に持っていき、口に入れる」という過程が飛んだわけだ。
時間が消し飛んでいる間はディアボロだけが意志を持って動くことができ、消し飛ばされた相手は最中の記憶がない。
もう少し補足すると、キング・クリムゾンの能力は動画編集においての「カット」機能と考えればお分かりいただけるだろうか。途中の場面を飛ばすと結果だけが残る。そのカット中の映像内をボスだけが動けるというわけだ。
ディアボロの「空の雲はちぎれ飛んだことに気付かず…消えた炎は消えた瞬間を炎自身さえ認識しない」というセリフがあるが、まさにその通りであり、本人や周囲から見れば、パンチをくり出していたと思ったら、いつの間にか相手の後ろに立っていた…というような認識になる。
リゾットのメタリカを倒したときのディアボロは、「エアロスミスの弾丸が自分の体に命中する瞬間の時間」を飛ばしたため、弾丸はそのまま当たらずにリゾットの体へ命中した。
さらに頭部についている「エピタフ(墓碑銘)」には未来予知能力がある。これは数十秒先の出来事を完全に予知する能力であり、エピタフとキング・クリムゾンを使用することによって、いつ、どんな形で自分に攻撃が振りかかるのか、ということを100%の確率で予知することができる。

予知した結果が襲ってきたところで、時間を消し飛ばせば攻撃自体が当たらないため、不意打ちなどによる攻撃は不可能。正攻法でも完全に攻撃の軌道が読まれてしまうため、正面から戦っても奇襲をしても、普通の攻撃ではまずディアボロを倒すことは不可能である。
5部では弓と矢によって進化した「ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム(GER)」によって倒された。GERは「動作や意志の力をゼロにする能力」なので、時間を消し飛ばしたところで「消し飛ばした事実」さえもゼロになってしまうため、ディアボロの能力は無効化された。
一見、無敵に見えるこの能力であるが、意外に攻略法が存在する。たとえば、エピタフで見られる未来は「なぜ、その結果になったか」がわからないので、結果だけを見て早急に判断してしまったら、実は違った内容だったということもある。
時間を消している最中は動けるが、その中のものに触れることはできない。つまり、時間を消している最中にディアボロができることは「相手の攻撃をかわすこと」だけで、攻撃はできない。
- 第6部:エンリコ・プッチ
【スタンド名】:ホワイトスネイク、C-MOON、メイド・イン・ヘブン
【能力】:記憶やスタンド能力のDISC化、重力操作、時間加速

第6部は他の部と比べ、ボスのスタンドも変化し、そのたびに能力も変わっていく異質な部となっている。本体はエンリコ・プッチただひとりだが、そのスタンドは2段階進化をする。
■ホワイトスネイク

人の記憶やスタンド能力をディスクにして保管したり、他の人間に差し込んで操ることが可能。ディスクを与えられた人間はスタンド能力を身に付けることになる。ディスクを抜かれた人間は衰弱し、なにもしないでいると死んでしまう。それは記憶自体がないため、生きる目的というものが存在しないからである。
■C-MOON

ホワイトスネイクが緑色の赤ちゃんと合体した後、ケープ・カナベラルで進化したスタンド。能力は重力操作であり、本体を中心にして3km以内に存在するものはプッチ自身が「上」になることで下へと落下していく。
また、直接攻撃をすることで体の内側と外側を裏返すことができる。この能力でダメージを与えることができるが、もう一度殴られると裏返ったものは元に戻る。
C-MOONの能力を無効化させるには、自身の肉体を「メビウスの輪」にするしかない。つまり「裏表がない状態」にする。徐倫は攻撃を受けた箇所を糸でメビウスの輪を作り、この能力を無効化した。
■メイド・イン・ヘブン

C-MOONが天国への「位置」に移動したことで進化した姿。このスタンド能力は「時間加速」であり、厳密には戦闘用ではない。
天国へ到達したプッチ神父はこの能力を使い、時間加速を開始した。その目的は「宇宙を一巡させること」。
プッチは時間加速によって一巡した宇宙の先で、人々はこれから起こる出来事をすべて知り、その上で「覚悟」をして人生を送ることができると考えた。いつ誰と出会っていつ事故に遭って、いつ死ぬのか。それがすべてわかった上で、人々が覚悟をして生きるということがプッチが考えた「天国」であった。
時間加速中は冷蔵庫に入れた水があっという間に凍り、昼夜がすぐ逆転する。食べ物は早く腐り、物質はどんどん崩壊していく。打ち寄せる波のスピードも早くなる。なお、イルカの泳ぐスピードに加速して追いつくことはできるが、プッチの身体能力は超えられないため、長距離は泳げないなどの弱点も存在する。
無限に加速する時はやがて宇宙を一巡させ、新たな世界を作るまでに至った。しかし、前の世界からやって来ていたエンポリオがウェザーリポートのディスクによってスタンドを発現させ、プッチを倒し、人々がこの先のことを知らない、中途半端なパラレルワールドが出来上がった。
以後のジョジョはこの「一巡後の世界」を元に構成されている。
- 第7部:ファニー・ヴァレンタイン
【スタンド名】:D4C、D4C-ラブトレイン-
【能力】:平行世界(パラレルワールド)を行き来できる能力

いともたやすく行われるえげつない行為(Dirty deeds done dirt cheap)の略である。その能力は難解すぎるため、簡潔に述べると、何かの間に挟まることで、その人物を「平行世界(パラレルワールド)に引き込んだり、送り出したりできる能力」である。
平行世界に同一の物や人間が2つ同時に存在すると消滅してしまう。また、7部の世界では「聖なる遺体」がある世界を基本としているため、パラレルワールドに遺体はない。
そしてここからが恐ろしい能力である。大統領が死んでも意志とD4Cは平行世界の大統領に託せるため、一人の大統領が死んだところで、新たな大統領が平行世界からやって来てしまう。
これにより、不死身も同然の能力である。これを防ぐには、新たな大統領が来る前に全員の大統領を倒すしかない。
■D4C-ラブトレイン-
聖なる遺体を完成させた段階で進化したD4Cである。スタンド自体の進化というよりは、聖なる遺体を宿したルーシー・スティールを利用した攻撃に近い。ルーシーを中心として「吉良(きちりょう」というものが集まってきて、「害悪」になるものはすべて弾かれていく。
その過程で発生した放射線上の隙間を移動できるのが「D4C-ラブトレイン-」である。この隙間に大統領がいるあいだ、攻撃は無効化され(害悪なので)、その攻撃自体は他の誰かに何らかの災厄となって振りかかる。たとえば攻撃の瞬間、世界のどこかで誰かが不幸になっているというように。
大統領にとっての「敵」についた傷は、なんらかのかすり傷であっても害悪となるため、体を巡って心臓などに登ってくる。
- ゲーム『ジョジョの奇妙な冒険 アイズオブヘブン』:天国へ到達したDIO
【スタンド名】:ザ・ワールド・オーバーヘブン
【能力】:現実改変
PS3、PS4用ゲームソフト『ジョジョの奇妙な冒険 アイズオブヘブン』に登場するラスボス。荒木飛呂彦氏が構想を練り、デザインした。
「もしもDIOが天国へ到達したらどうなるのか」という設定をゲームで実現させたキャラクターである。
能力は「現実の改変」であり、DIOがスタンドの拳で殴った対象物に対し、DIOが望むままの結果を上書きしてしまう。「消す」と思えば完全消滅できるし、回復したいと思えば回復できる「なんでもあり」なスタンド。ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム、タスクAct.4ですらも無効化できる。
だが、弱点もあり、一度発動させると次に能力を使うまでに大変な時間がかかる。また、直接拳で殴らないと発動しないため、かわされていると能力は効かない。時間停止能力も消えているため、現実改変以外の能力使用はできない。
このように、ジョジョのラスボスは3部以降、すべて「時間」「空間」「重力」などに関わってくる能力です。吉良も最初は爆弾スタンドだったのが、最終的には運命に勝つために「時間を巻き戻す」という能力を身につけます。
宇宙が時間や空間、重力に関係しているため、スタンド能力も最強と位置されるものはこれらに関連した能力ということになるんでしょうね。
時間系は
「止める(ザ・ワールド)」、「戻す(キラークイーン)」、「消し飛ばす(キング・クリムゾン)」、「加速する(メイド・イン・ヘブン)」7部のボスは「パラレルワールド移動(D4C)」ですから空間系ですね。
さあ、ここまで来ると、いったい8部のボスは果たしてどんな能力になるのかというのが怖くてワクワクしてきます。もしかしたら単純になる?かもしれませんね。
東方家の住人の能力は意外とシンプルなものばかりですから。時間と空間、重力系の能力が最強だとすると、8部の最後はどんなバトルになるのか、想像もつきません。
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ただ、「呪いを解く物語」なので、ラスボス戦もバトルで終わるか、サスペンス的な心理戦で終わるのかがまだ全然わかっていないんですよね。ボスみたいな人も出ていませんし。
この「呪い」というのがこれまでのジョジョの血統やDIOとの関係性を破壊するものになるのか、物語内の「石になる病気」のことなのかもわかりません。もしかしたら、これまでのボスはすべて時間に関係していた能力なので、
時間や空間そのものを破壊するスタンドとか…いや、これやっちゃったらもうやることなくなるからダメか(笑)。
ジョジョ史上、最長と言われた「スティール・ボール・ラン」を凌ぐ巻数になるのか、そしてボスの能力はこれまで見たこともないものになるのか…今からすごく楽しみです。
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